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お客様が「入らない店」には、入口に理由がある

執筆者の写真: isakonju
isakonju
1 日前
読了時間: 7分

「店の前を人は通っているのに、なかなか入店してもらえない。」


店舗の相談を受けていると、こうした悩みを聞くことがあります。

店内には魅力的な商品がある。


スタッフもいる。


ディスプレイもきれいに整えている。

それなのに、お客様が入ってこない。

そんなとき、店内の商品やディスプレイを変えることを考える前に、私がまず見るのが入口です。


なぜなら、お客様にとっては、店内に入る前からすでに「その店を見る」という体験が始まっているからです。


入口は、単なる「出入り口」ではありません。

お客様にとっては、


「この店に入ってみようか」


を判断する最初の接点です。

では、入りたくなる店と、入りにくい店では何が違うのでしょうか。

今回は、VMDの視点から「入店」という行動を考えてみます。


入口に立つ前から、すでに店は見られている


店舗の中にいると、どうしても店内から入口を考えてしまいます。

しかし、お客様はまず店舗の外側から店を見ています。

商業施設なら、通路を歩きながら店舗を見ています。

路面店なら、歩道を歩きながら店を見ています。

そのとき、お客様の視界に入っているのは何でしょうか。


看板なのか。

ウィンドウなのか。

商品なのか。

ブランドロゴなのか。

店内の雰囲気なのか。

あるいは、スタッフの姿なのか。


実際には、いろいろな情報が同時に入ってきます。

その中からお客様は無意識に、


「自分に関係がありそうな店か」

「どんな商品がある店なのか」

「入っても大丈夫そうか」


といったことを感じ取っています。

つまり、


入店するかどうかを考える前に、すでに店舗から情報を受け取っているのです。


だからこそ、VMDでは入口だけを単独で見るのではなく、店舗の外から店内までを一つの流れとして考えます。


「見える」と「入りたい」は同じではない


入口を考えるときに注意したいのが、


「店内がよく見えるから、入りやすい」


とは限らないということです。

もちろん、店内の雰囲気が見えることは重要です。


どんな商品があるのか。

どんな空間なのか。

どんなブランドなのか。


それが伝わることで、入店のきっかけになることがあります。


しかし、何でも見せればいいわけではありません。

入口から商品が大量に見えていたら、お客様は情報を受け取りやすくなるでしょうか。

場合によっては、何を見ればいいのか分からなくなることもあります。


反対に、入口から見える情報が整理されていると、店の特徴が伝わりやすくなることがあります。


つまり大切なのは、


「どれだけ見せるか」ではなく、「何を見せるか」


です。

これはVMDにおいて、とても重要な考え方です。


お客様は「入っていい理由」を探している


お客様が店舗の前を通ったとき、興味を持ったとしても、必ず入店するとは限りません。


「ちょっと気になる」

「商品を見てみたい」

と思っても、


「今日は見るだけだから」

「入りにくそう」

「自分には合わないかもしれない」

と感じれば、そのまま通り過ぎることがあります。


そこで考えたいのが、お客様が入店するきっかけです。





例えば、ウィンドウに気になる商品がある。

店内にブランドの世界観を感じる。

入口付近に「見てみたい」と思う商品がある。

店内の様子が適度に見えていて、安心感がある。


こうした小さなきっかけが、入店につながることがあります。

VMDの役割は、無理にお客様を店内へ誘導することではありません。


むしろ、


「ちょっと入ってみようかな」


と思ってもらえる理由を、売場の中につくっていくことです。


入口で重要なのは「情報の量」より「情報の整理」


店舗の入口には、いろいろな情報を置きたくなることがあります。


ブランド名。

キャンペーン。

新商品。

おすすめ商品。

価格。

POP。

ディスプレイ。


もちろん、それぞれに意味があります。

しかし、それらがすべて同時に目に入ってくると、お客様にとっては情報量が多くなります。


入口に立った瞬間に、

「結局、この店は何を見せたいのだろう?」

となってしまうことがあります。


そこで必要になるのが、優先順位です。


最初に何を見てもらいたいのか。

次に何を伝えるのか。

そして、その先にどう店内へつなげるのか。


これは、3本目の記事で紹介した「視線」や「動線」ともつながっています。


入口は単独の場所ではありません。


入口 → 視線 → 店内 → 商品


という一連の流れのスタート地点です。


ウィンドウは「きれいに見せる場所」だけではない


特にブランドショップなどでは、ウィンドウディスプレイが重要になります。

ウィンドウは、ブランドの世界観を伝える場所です。


しかし、それだけではありません。

お客様が店舗に興味を持つための最初の接点でもあります。


例えば、新しいコレクションを見せる。

ブランドらしいスタイリングを見せる。

季節感を伝える。

商品の特徴を印象的に見せる。


こうした表現によって、

「この店、ちょっと気になる」

という感情が生まれることがあります。

そして、その興味が入口につながり、入口から店内へと続いていきます。


だからウィンドウを考えるときも、


「きれいにできているか」

だけではなく、


「この先、店内を見てみたいと思ってもらえるか」


という視点が必要になります。


入店率が低いとき、店内だけを変えない


店舗の数字を見ると、売上や客数だけではなく、入店率を見ることがあります。


例えば、店舗の前を多くのお客様が通っているのに、入店する人が少ない。

その場合、店内の商品構成だけを変えても、問題の解決につながらない可能性があります。


なぜなら、お客様がまだ店内に入っていないからです。

この場合は、


「なぜ入ってこないのか?」


を考える必要があります。


入口から何が見えているのか。

どこに視線が向くのか。

ウィンドウは何を伝えているのか。

ブランドの雰囲気は伝わっているか。

入口が入りやすい状態になっているか。


こうしたことを実際の現場で確認します。

数字は、問題がどこにあるのかを考えるきっかけになります。


そして、


数字だけでは分からない理由を、現場で探していく。


これがVMDの仕事の一つだと考えています。


「入りやすい店」は、入り口だけでつくらない


ここまで読むと、「入口を改善すれば入店率が上がる」と思われるかもしれません。

しかし、実際にはそれほど単純ではありません。

店舗の入口は、ブランド全体の印象とつながっています。


外から見える店舗。

ウィンドウ。

ファサード。

入口。

店内のディスプレイ。

商品構成。

スタッフの立ち位置。

照明。


これらが一つの体験としてつながっています。

だからこそ、入口だけを切り取って考えるのではなく、


「お客様が店舗を見つけてから、店内に入るまでの体験」


として考えることが大切です。


VMDは「入店させる」のではなく、「入りたくなる理由」をつくる


店舗改善をするとき、つい「どうすればお客様を入店させられるか」と考えてしまいます。

しかし、私は少し違う視点が必要だと考えています。


お客様を無理に入店させることはできません。

できるのは、


「この店を見てみたい」

「少し入ってみようかな」


と思ってもらえる環境をつくることです。

そのためには、店舗の外からお客様の視点に立って見る必要があります。


店内にいるスタッフから見た入口ではなく、


初めてその店を見るお客様から、店舗がどう見えているのか。


そこから考える。

これがVMDによる店舗改善の第一歩です。

入口は、単なる「店に入る場所」ではありません。


お客様とブランドが最初に出会う場所です。

だからこそ、


「何を見せるか」


だけではなく、


「何を感じてもらいたいのか」


まで考えて、入口をつくっていく。

売場改善は、店内から始まるとは限りません。

時には、


一歩外に出て、自分の店を見ることから始まるのです。




次は、【回遊/導線】をVMD視点から考えていきます。

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